移動スキルの訓練を通じてクライアントの身体制御性を向上させ、
障害予防やパフォーマンス向上に繋げる
Locomotor Movement Skillとは?
あらゆる人にとって有用な「移動スキル」
Locomotor Movement Skill(LMS)とは直訳すると「移動スキル」です。人間の身体は直立二足歩行をはじめとする、重力や床半力などの外力を使った移動に最適化されたものですが、近代的な生活によりその機能は大きく低下しています。本講座では、移動機能の訓練を通じて人間が本来持って生まれた身体機能を再獲得することを目指します。
「動作」ではなく「タスクの遂行と結果」に集中する目標指向型アプローチ
従来のアプローチとLMSの大きな違いの1つは「エクササイズ中の意識を何に向けるか」という点です。
従来のアプローチでは、エクササイズ中は正しいフォームなどの「動作」に意識を集中します。安定した環境下でのパフォーマンスが高まる一方で、実生活や競技など状況が常に変化する環境下では本来のパフォーマンスが発揮できるとは限りません。この環境間のギャップにより「ジムやクリニックでの測定値は向上しているのに実生活や競技中のパフォーマンスが上がらない」といった問題が発生します。
対して目標指向型のアプローチであるLMSでは、エクササイズ中は特定の身体部位や動作ではなく「与えられたタスクの遂行と結果(=目標)」に意識を集中します。安定した環境ではなく実生活や競技に近い外乱のある環境で動作を反復することで、状況に応じた動作が無意識的に行える状態を目指します。
本来、実生活や競技では「どう動くか(動作)」ではなく「何を達成したいか(目標)」に意識を集中しているはずですが、ジムやクリニックではそのような訓練はあまり行われていません。LMSはこのギャップを埋めることで、実生活や競技のパフォーマンスに直結するアプローチを可能とします。
2つのアプローチの比較
従来のアプローチ | LMSのアプローチ | |
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エクササイズの目的 | 特定の部位や動作を鍛える | タスクの遂行能力を鍛える |
エクササイズの環境 |
安定した環境 例:平坦な床、安定した負荷、移動を伴わない、障害物や敵がいない |
外乱のある環境 例:高低差や凹凸がある床、移動を伴う、障害物や敵がいる |
エクササイズ中の意識 | 正しいフォームなどの「動作」に集中 | 環境に応じた「タスクの遂行と結果(=目標)」に集中 |
エクササイズと 結果の例 |
正しいフォームを意識したスクワットジャンプを反復することで、筋力が鍛えられ、安定した環境下で高いジャンプができるようになる |
多様な環境下でタスクに意識を向けたスクワットジャンプを反復することで、環境に応じたジャンプが無意識的にできるようになる |
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従来のアプローチ
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エクササイズの目的
特定の部位や動作を鍛える
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エクササイズの環境
安定した環境
例:平坦な床、安定した負荷、移動を伴わない、障害物や敵がいない
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エクササイズ中の意識
正しいフォームなどの「動作」に集中
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エクササイズと
結果の例正しいフォームを意識したスクワットジャンプを反復することで、筋力が鍛えられ、安定した環境下で高いジャンプができるようになる
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エクササイズの目的
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LMSのアプローチ
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エクササイズの目的
タスクの遂行能力を鍛える
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エクササイズの環境
外乱のある環境
例:高低差や凹凸がある床、移動を伴う、障害物や敵がいる
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エクササイズ中の意識
環境に応じた「タスクの遂行と結果(=目標)」に集中
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エクササイズと
結果の例多様な環境下でタスクに意識を向けたスクワットジャンプを反復することで、環境に応じたジャンプが無意識的にできるようになる
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エクササイズの目的
「動作多様性」の獲得により環境適応能力が高まる
安定した環境下で規定の動作を反復するトレーニングにより基礎的な身体機能を鍛えることは可能です。しかし、常に変わり続ける環境下で多様な動作が求められる実生活や競技に対して、十分な準備ができているとは限りません。
LMSでは、様々な姿勢や四肢のポジション、多面的な動作、障害物、ツール、タスクを用いることで多様な身体の使い方を学ぶことができます。この能力が育つことで、あらゆる環境・負荷・タスクに対して適切に応答できるため、障害予防やパフォーマンス向上につながります。
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kong Vault (Vault Box)
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Rail Tripod Transition (Rail)
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Prep Corner Push (Tower)
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Leg Hook Traverse (Bar)